
話しの前提と質問
創世記によれば、神はアダムを創造し(創世記2:7)、アダムからエバを造りました(創世記2:21-22)。そしてアダムとエバはカインとアベルを産みました(創世記4:1-2)。
アベルはやがてカインに殺されてしまいますが、カインは妻を娶り、子をもうけます。アベルの後に産まれたセツも妻を娶り、子をもうけます。人類は繁衍し、今に至ります。
聖書にカインの妻の正体はなぜ記載されていないのでしょうか?そして誰だと推測されるのでしょうか?
短い回答
この質問に対する短い答えは
「分かりません。」
です。
聖書から答えを読み取ることができないので、信仰において重要ではなく知らなくても良い情報、ということになります。
神は人に知らせたいことがあって聖書を書かれました。聖書には人が知りたいことが必ずしも書いてあるとは限りません。
長い回答
でも、もやもやの諸君のために、もう少し詳しく書きます。
カインの妻についての唯一の記述は創世記4章17節です。
"カインはその妻を知った。彼女は身ごもってエノクを産んだ。カインは町を建てていたので、息子の名にちなんで、その町をエノクと名づけた。"
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
創世記 4章17節
合理的に(消去法で)考えるなら、カインの妻は彼の妹になります。アダムはカイン、アベル、セツを生んだ後にも、複数の子供をもうけました(創世記5:4)。
"セツを生んでからのアダムの生涯は八百年で、彼は息子たち、娘たちを生んだ。"
聖書 新改訳2017©2017新日本聖書刊行会
創世記 5章4節
また、アダムと同列の存在はいませんので、アダムの家系が当時の唯一の家系となります。カインには、彼の妹のほか、妻となりうる女性はいませんでした。
証左としてではありませんが、偽典(Pseudepigrapha)の『ヨベル書』(The Book of Jubilee)において、カインの妻は妹のAwanであると記されています。
偽典・外典についての注意
しかし、聖書の正典(旧約39巻、新約27巻)が正典と認められているのはそれなりの理由があり、私たちは正典は神が定めた66巻と捉えています。クリスチャンとして、信仰の拠り所はあくまでも正典の66巻です。偽典や外典の話はあくまでも雑学と思ってください。研究するにしても初学者は触れない方が良いでしょう。このように、合理的な推測とマッチする話しならまだいいけど、正典と矛盾する場合もございますので、信仰のために読むなら、頭が混乱し、正常な見方ができなくなる可能性があるからです。
更に知りたい場合は、聖書学者によって書かれた英文の記事がございますので、ご参照ください。近親相姦の禁止についての歴史的経緯の推察が納得です。
https://www.biblestudytools.com/bible-study/topical-studies/who-was-cains-wife.html
繰り返しますが、正典に書いてないことは、重要ではありません。しかし、この記事を提示することで、読者のもやもやが解消されて、正典を更に評価し、学ぶなら、それに越したことはありません。
文:ジョシュア
画像:Stable Diffusion
2022/10/15 オープンチャット聖書部での質疑応答をきっかけに、書き上げました。